ほたる炭読みもの

国産炭と外国産の安い炭は、何がどう違うのか

袋を開けた国産のほたる炭。切り揃えられた堅木の黒炭

ホームセンターで「バーベキュー炭 3kg 500円」を見かけたあとに、国産炭の値段を見ると驚くと思います。同じ炭で、なぜ何倍も違うのか。

理由は三つあります。原料の木が違うこと、焼く時間が違うこと、そして人件費が違うことです。

富山県朝日町・笹川で土窯の黒炭を焼いている立場から、正直に書きます。安い炭が悪いという話ではありません。向き不向きの話です。

安い炭の多くはマングローブ炭です

輸入炭で最も多いのは、東南アジア産のマングローブ炭です。海岸の湿地に生える木で、成長が速く、安く大量に採れます。

対して国産の黒炭は、ナラ・ケヤキ・サクラといった里山の広葉樹を使います。成長には十数年から二十年かかります。

木の密度が違えば、炭の密度も違います。密度が高い木から焼いた炭は硬く締まり、火持ちがよく、灰が少なくなります。

袋を開けた炭。太さも形も一本ずつ違う
袋を開けた炭。太さも形も一本ずつ違う

違いは主に四つに出ます

1. 火持ち

密度の差がそのまま出ます。安い炭はすぐ崩れて灰になり、追加の炭を頻繁に足すことになります。結果として、使った総量では逆転することもあります。

2. におい

これは意外と知られていません。炭そのもののにおいは、食材に移ります。

炭化が不十分だと、木の成分が残ったまま燃えて煙が出ます。その煙が食材にまとわりつく。素材で勝負したい料理ほど、この差が出ます。

3. 爆ぜるかどうか

安い炭がパンパン弾けるのは、内部に水分や炭化しきっていない部分が残っているためです。急いで焼けば、外側だけ炭になって中心が残ります。

火の粉が飛ぶと、タープや衣服を焦がします。子どもがいる場所では、この差は小さくありません。

4. 灰の量

密度の低い炭は、燃えたあとに大量の灰が残ります。後片付けの手間が変わります。

なぜ時間が違うのか

笹川では、火入れから五日間、窯につきっきりで火を守ります。そのあと七日間かけて冷まします。一窯に十二日です。

土窯に温度計はありません。煙の色とにおいだけを頼りに、焚き口と排気口の大きさを変えて空気の量を調整していきます。

完全に炭化しきらない部分が、ほんの少し残るくらいがいい。
焼きすぎると「焼き炭」になって、火持ちが悪くなる。

この境目を五日間見極めつづける作業を、機械は代われません。量産するなら、この時間を削るしかない。削れば、中心まで炭にならない。だから爆ぜます。

煙をあげる土窯
煙をあげる土窯

「国産だから良い」わけではありません

正直に言うと、産地名だけでは何も分かりません。国産でも、機械窯で短時間に焼いたものはあります。

見るべきは産地ではなく、原料と焼き方です。売り場で判断するなら、次の二点です。

  • 「原木」「広葉樹」と書かれているか。 おが炭・成型炭は木くずを固めたもので、性質がまったく違います
  • 断面に放射状の割れ目が入っているか。 これは熱が中心まで届いた印です

叩いてみて、乾いた軽い音がすれば、しっかり炭化しています。鈍く重い音は水分が残っているサインです。

使い分けの提案

安い炭で十分な場面

屋外で短時間、大人数で、火加減を細かく気にしない。焼き網に肉と野菜を並べて食べるだけなら、価格優先で問題ありません。

国産の原木炭が効いてくる場面

  • 魚や肉の味を、炭のにおいで邪魔したくない
  • 七輪や囲炉裏など、屋内に近い場所で使う
  • 火の粉を飛ばしたくない
  • 火起こしの回数を減らして、料理に集中したい

ほたる炭は7kgで3,800円(送料込み)です。安い炭と比べれば高いのですが、市販の炭との違いに書いた四点は、使えば分かる差だと思っています。

かつてこの集落には二十人ほどの炭焼きがいました。いまは二人です。焼ける量には限りがあり、安くたくさん出すことはできません。そのぶん、一袋の中身には責任を持っています。