炭の火持ちは、次の三つでほぼ決まります。
原料の木の密度、炭化の深さ、火の消し方。この順に説明します。買うときの見分け方は最後にまとめます。
1. 木の密度:重い木は長く燃える
炭は木の炭素骨格ですから、元の木が詰まっているほど、炭も詰まります。
密度の高い堅木──ナラ、ケヤキ、カシなど──から焼いた炭は、同じ大きさでも重く、燃え尽きるまでの時間が長くなります。マングローブや針葉樹の炭が早く灰になるのは、元の木が軽いからです。
笹川で使う樹種のうち、火持ちがいちばん強いのはケヤキです。火付きは少し悪いのですが、一度火が回れば長く強く燃えます。樹種による違いは別の記事に書きました。
2. 炭化の深さ:中まで炭になっているか
同じ木でも、焼き方で火持ちは大きく変わります。
短時間で焼いた炭は、外側だけが炭になり、中心に炭化しきらない部分が残ります。こうした炭は火にかけると崩れやすく、煙と一緒に早く燃え尽きます。
かといって、焼きすぎてもいけません。
焼きすぎると「焼き炭」になって、火持ちが悪くなる。
笹川の窯でこう言われるとおり、炭化を進めすぎた炭はすかすかになり、あっという間に灰になります。ちょうどよい止めどきを、煙の色と匂いで5日間見極める。火持ちは、この見極めの産物です。


3. 消し方:黒炭と白炭の違い
炭化の最後、火をどう消すかでも火持ちは変わります。
- 黒炭:窯の中で空気を断って消す。適度に隙間が残り、着火しやすく、火持ちはふつう
- 白炭(備長炭):800℃以上から窯の外に掻き出して消す。組織が締まり、非常に長く燃える
火持ちだけを比べれば白炭が勝ちます。ただし着火に数十分かかるので、家庭のふだん使いでは黒炭のほうが実用的です。黒炭と白炭の違いに詳しく書きました。
火持ちのよい炭の見分け方
売り場では、次の三点を見てください。
- 持って重いこと。同じ体積なら重いほうが密度の高い木です
- 断面に放射状の割れ目があること。炭化が中心まで届いた印です
- 叩くと乾いた軽い音がすること。鈍い音は水分や生の部分が残っています
火持ちは「使う量」に直結します
火持ちのよい炭は、結局のところ経済的です。
すぐ崩れる炭は何度も足すことになり、総量ではかえって多く使います。灰も増え、片付けも重くなります。安い炭が本当に安いかは、袋の値段ではなく一度の火にいくら使ったかで決まります。
ほたる炭は、ナラ・ケヤキ・サクラの堅木を12日かけて焼いた黒炭です。火持ちを含めた性質は市販の炭との違いにまとめています。