炭の火起こしで失敗する原因は、だいたい三つに集約されます。
空気の通り道を作っていない。途中でいじりすぎる。炭の選び方が用途に合っていない。
順に説明したあと、確実に起こせる手順をまとめます。
失敗1:炭を密に積んでしまう
火は、下から上へ空気が流れることで育ちます。
着火剤の上に炭をぎっしり載せると、空気の道がふさがれて、着火剤だけが燃え尽きます。炭は煙突のように、隙間を残して立てかけるのが基本です。
火起こし器(チムニースターター)が確実なのは、この煙突構造を道具が作ってくれるからです。
失敗2:待てずにいじってしまう
火起こしでいちばん多い失敗は、じつはさわりすぎです。
炭に火が移るには、一定時間、熱がたまりつづける必要があります。心配になって組み替えるたびに、たまった熱が逃げてやり直しになります。着火剤に火をつけたら、10分は見ているだけにしてください。
うちわで扇ぐのは、炭の一部が赤くなってからです。それより前に扇ぐと、着火剤の火が吹き消されることがあります。

失敗3:炭が用途に合っていない
同じ手順でも、炭によって難易度が変わります。
- 備長炭(白炭)は、そもそも着火しにくい炭です。初心者が失敗するのは腕ではなく選択の問題です
- 湿気た炭は火がつきにくく、爆ぜやすくもなります。保管は湿気を避けてください
- 炭化の浅い安価な炭は、着火はしても煙と匂いが出ます
家庭のふだん使いなら、着火しやすい黒炭が確実です。黒炭と白炭の違いに書いたとおり、黒炭は組織に適度な隙間があり、火の立ち上がりが速い炭です。
確実な手順(道具なし版)
- 着火剤を中央に置きます
- 細い炭を、着火剤を囲むように立てかけます。隙間を必ず残します
- 火をつけ、10分待ちます
- 細い炭の縁が赤くなったら、太い炭を外側に足します
- 全体の表面に白い灰がうっすら回ったら完成です。食材を載せるのはここからです
黒い部分が残ったまま焼きはじめると、煙が食材につきます。白くなるまで待つことが、火起こしの最後のコツです。
細い炭と太い炭の二段構え
手順の4で書いたとおり、火起こしは細い炭で起こし、太い炭で保つのがいちばん楽です。
ほたる炭は原木を伐り出して焼くので、一袋に太さの違う炭が自然に混ざっています。火付きのよいナラ、火持ちのするケヤキが混在する構成は、この二段構えがひと袋で完結する形です。

起こした火を無駄にしないために
火持ちのよい炭なら、一度起こした火で最後まで焼き切れます。
途中で炭を足すと、また煙と待ち時間が発生します。火起こしの手間を減らす最大のコツは、じつは足さずに済む炭を最初に選ぶことです。火持ちの決まり方は火持ちの記事に、炭の性質全体は市販の炭との違いにまとめています。