七輪に向く炭を先に言うと、しっかり炭化した原木の黒炭です。
理由は三つあります。着火しやすいこと、爆ぜないこと、そして少ない本数で足りることです。順に説明します。
七輪は「少ない炭で焼く道具」です
七輪は、珪藻土でできた小さな断熱の箱です。熱が外に逃げにくいので、バーベキューコンロよりずっと少ない炭で同じ火力が出ます。
大人2〜3人の卓上なら、炭は数本で足ります。だから七輪では、炭の量より一本の質が効いてきます。すぐ灰になる炭だと、食事の途中で何度も足すことになります。
黒炭か、備長炭か
七輪といえば備長炭を思い浮かべる方も多いはずです。使い分けはこうなります。
- 黒炭:火がつきやすく、立ち上がりが速い。家庭のふだん使い向き
- 備長炭(白炭):着火に時間がかかるが、火力が何時間も一定。業務用向き
家庭で夕食に七輪を出すなら、黒炭のほうが扱いやすいと思います。着火の待ち時間が短く、食べ終わる頃に火が落ちる。黒炭と白炭の違いは別の記事に詳しく書きました。
なお備長炭は、急に強い火に入れると激しく爆跳することがあります。卓上で顔が火に近い七輪では、この点も無視できません。

卓上だからこそ、爆ぜない炭を
七輪は食卓の上、顔から数十センチの距離で火を使う道具です。
炭化が中心まで届いていない安価な炭は、内部の水分が膨張してパンパンと弾け、火の粉を飛ばします。屋外のバーベキューなら笑い話でも、卓上では火傷や衣服の焦げに直結します。
笹川では火入れから5日間、煙の色と匂いだけを頼りに窯の空気を調整して、中心まで炭化させます。ほたる炭が一切爆ぜないのは、この工程のためです。
七輪の火起こし手順
火起こし器(煙突状の筒)があれば簡単ですが、七輪だけでも起こせます。
- 着火剤を七輪の底に置きます。新聞紙を丸めたものでも構いません
- その上に、細めの炭を立てかけるように組みます。空気の通り道を残すのがコツです
- 着火剤に火をつけ、さわらずに待ちます。何度もいじると温度が上がりません
- 細い炭に火が回ったら、太い炭を足します
- 炭の表面に白い灰がうっすら回ったら、焼きはじめの合図です
送風口(下の窓)の開け閉めで火力を調整できます。全開で強火、絞れば弱火です。

太い炭と細い炭が混ざっている意味
ほたる炭は、ナラ・ケヤキ・サクラの原木を伐り出して焼くため、一袋の中に太さの違う炭が混ざっています。
七輪ではこれが使いやすく働きます。細い炭で火を起こし、太い炭で火を保つ。樹種による炭の違いにも書きましたが、火付きのよい炭と火持ちのよい炭の組み合わせは、少ない本数で焼く七輪と相性のよい構成です。