ほたる炭読みもの

炭のおすすめは用途で決まる。炭焼き職人が正直に書く選び方

炭火の網一面に並んだ川魚・イカ・ホイル焼き・かぼちゃ

「炭 おすすめ」と検索すると、ランキング記事がたくさん出てきます。この記事はランキングではありません。

私たちは富山県朝日町・笹川で炭を焼いている作り手です。売る側でもあるので、その分を差し引いて読んでいただいて構いません。そのかわり、自分の炭が向かない場面も含めて正直に書きます。

結論から言うと、おすすめの炭は「どれが一番良いか」ではなく、何に使うかで決まります。

まず、炭は大きく4タイプです

タイプ火つき火持ち価格帯特徴
マングローブ炭早い短い最安ホームセンターの「BBQ用木炭」の多く。煙と爆ぜが出やすい
オガ炭(成型炭)遅め長い安〜中おが屑を固めて焼いた炭。品質が均一で、焼肉店で広く使われる
黒炭(原木)早い中〜高ナラなどの原木を炭化。火力が強く扱いやすい。岩手の切炭が有名
白炭(備長炭)遅い最長ウバメガシなどを高温で焼き締めた炭。着火に技術が要る

火つき・火持ちの傾向には理屈があります。京都大学の研究によれば、炭の燃える速さは断面の隙間の量でほぼ決まります(白炭の空隙率13〜16%に対し黒炭は29〜39%)。隙間が少ないほど長持ちし、そのぶん火がつきにくい。どの炭も一長一短で、万能の炭は存在しません

用途別のおすすめ

大人数のバーベキューを安く済ませたい

安い炭で構いません。屋外で、火加減を細かく気にせず、網に肉と野菜を並べて食べるだけなら、マングローブ炭でも役目は果たします。

ただし煙が多く、パチパチと爆ぜて火の粉が飛ぶことがあります。小さなお子さんが近くにいる場合は、この点だけ気をつけてください。理由は炭が爆ぜる仕組みの記事に書きました。

味にこだわるバーベキュー・キャンプ

原木の黒炭をおすすめします。火つきが早く火力が強いので、炭火に慣れていない人でも扱いやすいタイプです。

定番は岩手の切炭(ナラの黒炭)です。私たちのほたる炭も同じ系統で、ナラ・ケヤキ・サクラの原木を土窯で焼いています。どちらも「火つきの良さ」と「煙の少なさ」を両立できるのが原木黒炭の持ち味です。

七輪・囲炉裏・火鉢

黒炭が向いています。卓上で顔に近い距離で使う火なので、爆ぜないこと・煙が少ないことが最優先になります。安価な炭化不足の炭がいちばん向かない用途です。詳しくは黒炭と白炭の違いの記事をどうぞ。

焼き鳥・鰻など、長時間一定の火力が欲しい

備長炭かオガ炭です。何時間も火力を保つ持久力は白炭系の独壇場で、これは黒炭では代えがききません。ただし着火には時間と道具が必要なので、年に数回のバーベキューには過剰です。

防災用の備蓄

タイプよりも保管が大事です。炭は腐らないので、乾いた場所に置けば何年でも保ちます。火起こしのしやすさを考えると、備蓄には着火しやすい黒炭が現実的です。

買うときに見る3つのポイント

袋の表示で、次の3点だけ確認してください。

  1. 「原木」か「成型」か。おが屑を固めたオガ炭と原木炭は別物です。書いていなければ、それも一つの情報です
  2. 産地が具体的に書いてあるか。国名だけでなく県や地域まで書いてある炭は、出どころに責任を持っています。日本で使われる炭の約85%は輸入品なので、書いていなければ外国産の可能性が高いと考えて差し支えありません
  3. 断面に放射状の割れ目があるか。中心まで熱が届いた印です。叩いて乾いた軽い音がすれば、なお良い炭です

正直な結論

  • 安さ最優先 → ホームセンターの炭で十分です
  • 扱いやすさと味の両立 → 原木の黒炭(岩手の切炭、ほたる炭など)
  • 長時間の強火 → 備長炭・オガ炭
  • 備蓄 → 乾燥保管できるなら何でも。使いやすいのは黒炭

ほたる炭は、この中の「原木の黒炭」です。7kgで3,800円(税込・送料込み)。大人数の使い捨てには向きませんが、火持ち・火力・香り・爆ぜないことの四点で選ぶ方には合うと思います。土窯で火入れ5日・冷まし7日をかけて、二人で焼いています。

どの炭を選ぶにしても、用途に合っていれば、それがあなたにとっての「おすすめの炭」です。


この記事で使った出典